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社長インタビュー

「持続可能な社会」の実現に向けて、オートメーション事業が果たすべき役割と機会が増す中、これまでの変革の実績を起点に、“更なる成長に向けた変革”を進め、自らの成長を通して、社会のwell-beingの実現に貢献します。

取締役 代表執行役社長 山本清博

Q1. 2023年度の業績結果と評価について教えてください。

A1. インフレの影響や、一部市場における需要低迷の継続等がありましたが、収益力強化等の「変革」の成果により、売上高・利益で過去最高を更新することができました。

2023年度は、インフレの進行によるコスト上昇や、緩和が見られるもののサプライチェーンの課題による部品不足・部品価格高騰の影響が継続しました。また、ビルディングオートメーション(BA)事業を取り巻く事業環境は堅調でしたが、アドバンスオートメーション(AA)事業では、ファクトリーオートメーション市場の低迷が継続するなど、事業環境もまだら模様となりました。このような状況下ではありましたが、お客様の生産性改善ニーズ等、オートメーションに対する需要を着実に捉えると同時に、期初における豊富な受注残を背景に部品調達・生産力の改善に引き続き取り組むことにより売上高の拡大を実現しました。また、コスト上昇に対しては、価格転嫁を含む収益力強化施策の効果により、BA、AA、ライフオートメーション(LA)の3事業とも前年度比増収増益を達成しました。全体としても3期連続となる増収増益を達成、過去最高業績を更新することができました。収益力強化の取組みの成果等、中期経営計画で取り組んでいる変革の進展を確認できた年でもあったと考えています。


Q2. 2024年度は中期経営計画(2021~2024年度)の最終年度となります。どのように取り組んでいかれますか、また見通しはいかがでしょうか。

A2. これまでの変革の実績を起点に、“更なる成長に向けた変革”を目指します。そのために、積極的な投資を継続し、中期経営計画で掲げた業績目標の達成にもこだわってまいります。

2023年度において様々な変革を進め、新製品投入・他社協業等、一定の成果をあげることができました。一方で、インフレの進行や人件費増加を見据えた更なる収益力強化・業務効率化や、成長に向け、新たな社会課題を捉えた事業開発・一層の商品力の強化等、2024年度はもとより、2030年度に掲げる長期目標達成に向けて、取り組むべき課題も明確になってきています。

2024年度はこれまでの変革の実績を起点に、“更なる成長に向けた変革”の年度と位置付け、研究開発やDX、人的資本への投資等を引き続き積極的に進めてまいります。こうした費用の増加を見込みますが、現行の中期経営計画も踏まえ、2024年度の売上高は、中期経営計画策定時(2021年5月)通り3,000億円(前年度比+90億円)、営業利益は中期経営計画を上回る375億円(前年度比+6億円)、営業利益率は12.5%を目指します。


Q3. 株主還元についてはどのようにお考えですか。基本方針に変化はありますか。

A3. 従来の資本政策の方針に変化はなく、これに基づき2023年度期末配当及び2024年度年間配当につき増配を実施します。また、株式分割を実施します。

azbilグループの資本政策に関する基本方針は、株主還元の充実、成長に向けた投資、健全な財務基盤の3つのバランスに配慮しながら、規律ある資本政策を展開し、企業価値の維持・向上を図るものです。また、株主還元については、純資産配当率(DOE)を主な指標として、配当水準の向上に努めつつ、安定した配当を維持することを目指しています。この考えに基づき、2023年度の期末配当については、厳しい環境下ながら計画を上回った業績結果も踏まえ、従来の計画から1株当たり3円増配の39円50銭とし、1株当たり年間76円とさせていただく予定です。また、2024年度の年間配当としては、事業収益力向上の見通しに加え、配当水準の向上の観点から、普通配当を12円増配し、1株当たり年間88円*1を計画しています。これにより、DOEは5%台となる見込みです。なお、当社株式の流動性を高め、投資家により投資しやすい環境を整えることなどを目的として株式分割*2を行うことといたしました。

このほか、資本政策(自己株式活用)を通じた人的資本への投資として、社員株式給付制度(J-ESOP)の譲渡制限付株式型への改定を行います。福利厚生と財務施策を組み合わせた本制度により社員エンゲージメントの強化を図ります。なお、規模・原資等の詳細につきましては今後の機動的な自己株式の取得とあわせて検討してまいります。

※1 株式分割を考慮しない場合の配当金額。
※2 2024年9月30日を基準日として、1株につき4株の割合をもって分割いたします。


Q4. 中期経営計画は残り1年となりました。進捗状況について教えてください。

A4. 商品力強化や事業拡大に向けた変革の取組みが進展したほか、これを支える生産体制の強化、サステナビリティ経営に対する取組みなどが進みました。

azbilグループは、2030年度に向けた長期目標として「持続可能な社会へ『直列』に繋がる貢献」を掲げ、そのファーストステップとして、中期経営計画(2021~2024年度)を策定、商品力強化、技術開発・設備投資強化、人的資本への投資強化を注力ポイントとして、様々な変革活動に取り組んでいます。3年目となる2023年度については、業績の部分で述べた収益力強化の取組みなどが大きく進展したほか、商品力強化に向けた取組みが進展しました。例えば、クラウドを活用したバルブ解析診断サービス「Dx Valve Cloud Service」の大手化学会社等への導入が拡大しています。また、他社との提携によるソリューション力の強化も進みました。成長が期待されるデータセンター市場の案件獲得に向けたX1Studio株式会社への出資や、再生可能エネルギー領域で、株式会社クリーンエナジーコネクトに続きフォレストエナジー株式会社への資本参加を行いました。今後も、これら投資案件に限らず、事業運営にあたっては、資本コストを意識した経営の観点から、投下資本からの収益性*3に基づく事業ポートフォリオの管理、経営資源活用の最大効率化を念頭に、“計測と制御”領域での競争優位性を高めることによる事業成長を目指します。なお、こうした事業面での取組みに加え、タイ生産子会社における新工場棟の建設等、持続的な成長を支えるための事業基盤の整備を進めたほか、サステナビリティ経営の推進に向けて、株式報酬制度の一部改定等、ガバナンス体制の強化に取り組みました。また、リスクマネジメントにおけるリスク選定プロセスの大幅な見直しや、その他ESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる取組みなどを推し進めました。

※3 税引後修正営業利益試算に基づく投下資本利益率(ROIC)を導入。2023年度azbilグループROIC(試算)10.2%、資本コスト(WACC)6.1%


Q5. ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。

A5. 持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献による社会のwell-beingの実現を通じて、株主の皆様や社員等、様々なステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。

社会の持続的成長に向けた社会的責任の拡大といった事業環境の変化、技術革新、少子高齢化の進行や働き方改革の進展、エネルギー転換、気候変動等への対応は、オートメーション事業で対応すべき課題領域の更なる拡大をもたらすものであり、azbilグループにとっての成長の機会でもあります。こうした様々な課題解決を通した事業拡大は、社会のwell-beingの実現に繋がるものと考えています。「人を中心としたオートメーション」の理念に基づく、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献の実践を通して、社会や社員のwell-being実現に貢献し、ひいては、株主の皆様をはじめ様々なステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。


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